本買うゆえに我あり

買っただけで満足して何が悪い‼︎

『群像』2016年6月号(講談社)という雑誌

    2年連続して、たまたま買った雑誌に掲載された作品が芥川賞を受賞した。その作品を目的に買ったわけではない。羽田圭介の「スクラップ・アンド・ビルド」が掲載された『文学界』(2015年3月号)を購入したのは、平野啓一郎と金杭(『帝国日本の閾』で丸山眞男を論じた研究者)の対談が目的だったし、本谷有希子の「異類婚姻譚」が掲載された『群像』(2015年11月号)を買ったのだって群像新人評論賞の発表、熊野純彦の評論が始まったからである。
    本書はどうか。『さようならCP』の原一男の随筆に、阿部公彦による平野啓一郎の新刊『マチネの終わりに』の書評などなどあるが、やはり群像新人文学賞を受賞した作品が面白そうだから買った。芥川賞を受賞するかどうかはわからない。しかし私は、世界がまた更新されたことを言祝ぎたいのだ。

以上