本買うゆえに我あり

買っただけで満足して何が悪い‼︎

朴忠錫『韓国政治思想史』(法政大学出版局)という本

    いま私の目の前に一冊の本がある。『[제2판]한국정치사상사』(『[第2版]韓国政治思想史』)。初版は1982年に刊行され、第2版は2010年に刊行された。来月刊行される本書はおそらく第2版の日本語訳だと思われる。内容に入る前に縦横無尽の参考文献を一目でも見ることをお勧めする。さすが丸山眞男から薫陶を受けた方である。
    本書の刊行が残念でならない。この手で訳したかった。だから原書が目の前にあるのだ。しかし本書の刊行はまた私の目に狂いがなかった証拠でもある。それがせめてもの慰めである。
    最後に原書の裏表紙にある文章を載せて、私の役割を果たそう。もちろんわれながら拙い訳である。

「一つの民族の文化・思想とは、その民族が開拓した領域である。一つの民族の文化・思想は、歴史的にその民族を構成している構成員の思考と行為の外化であり、またその蓄積だ。そのようにして民族の構成員のだれもが外化の蓄積の中で生きており、またこれと同じような意味で民族の構成員は歴史的現在の中で生きている。私たち韓国人も例外ではない。いわば人間は誰でも自分が属している社会の、硬直した文化・思想のしがらみの中で生きているだろう。しかし現実の人間の多くは、自分自身が属している民族の文化・思想に背き侮る傾向がある。そのような姿勢は自分自身が誰かを、自分自身の正体が何かを知らないまま生きているということだ。 
    韓国政治思想史研究は韓国人が歴史的に開拓した文化・思想の基底にある思考方式が何であり、ひいては政治に対する思考方式が何であるかを深く研究する学問分野である。韓国政治思想史研究の方法は、何はともあれまず対象を内在的に捉えなければならない。 」

以上