本買うゆえに我あり

買っただけで満足して何が悪い‼︎

横田弘『【増補新装版】障害者殺しの思想』(現代書館)という本

    この事件を聞いたとき、本書がすぐに思い浮かんだ。今回の事件に引きつけて目次を見るならば、興味深い章や節が目につく。「障害者殺しの事実」、「殺されたほうが幸せか」、「本来あってはならない存在か」、「福祉従事者との話し合い」。
    帯文にある森岡正博の言葉は核心をついている。脳性マヒの著者は「ほかならぬ自分自身の心の底にある優生思想と対峙」している。それはまた私のなかにも優生思想があるということでもある。
    今回の事件がセンセーショナルであるばかりに、全国紙の一面を飾るけれども、先月も全国紙の隅に親による障害児殺しの記事があった。そうしたことがさも過去にしかなかったかのように考える当事者団体は少なくないだろう。
    加害者の動機が明らかになるにつれ、一部を分かってしまう自分がいる。まずはそうした自分を認めた上で対峙していこう。
    「最善」を追求するあたり、加害者はある意味で自分に正直過ぎるように思われる。「善かれ」と思ってやる善人より、やる事なす事が悪になりうるかもしれないと自覚をもつ悪人でありたい。他者と共にあるために必要なこと、それは「偽善」だと丸山眞男も言っていた。

以上