本買うゆえに我あり

買っただけで満足して何が悪い‼︎

河合香吏編『他者 人類社会の進化』(京都大学学術出版会)という本

    裏表紙の帯には本書の意気込みが書かれている。
「今日「他者」は諸学問の流行テーマである。しかし本書はそれらの議論とは一線を画す。すなわち、一切の思弁を排し、ヒトとサル(そして他の動物)の参与的な観察事例にこだわった厳密な経験科学として、「他者」なるものを析出していく。哲学的な思索の対象としてではなく、個体と個体(集団と集団)の相互行為のプロセスとしての「他者」の中に、人類の社会性の本質を見る。」
確かに他者論と言えば、哲学者レヴィナスが想起されるだろう。レヴィナスと言えば、合田正人内田樹だけれども、ここでは熊野純彦を挙げたい。彼はレヴィナスだけでなく、様々なテクストを通じて他者を論じてきた。そしていま現在、東大文学部長を務めている。本書の「一切の思弁を排し」や「哲学的な思索の対象としてではなく」という言い回しは、熊野に向けられている、もっと言えば、喧嘩を売っている、挑発していると、私は感じた。それはまた京都大学東京大学に対する意気込みでもあるだろう。

以上