大野裕之『チャップリンとヒトラー』(岩波書店)という本
なぜ手に取ったかといえば、チャップリンの有名過ぎる映画『独裁者』を巡って論じているためである。
私と『独裁者』との出会いを介したのは、日本政治思想史家の丸山眞男の論文「現代における人間と政治」だ。論文の冒頭に繰り広げられる『独裁者』解釈が面白い。簡単に言うと、チャップリンは現代を「逆さの時代」と見ており、人間のために社会があるのではなく、社会のために人間がいるのが現代である、というもの。
さて手に取ったもう一つの理由は著者の大野裕之が日本チャップリン協会会長だということだ。これ以上の書き手を望みえようか。
しかしまだページをめくったことはない。読む前からお腹いっぱいになってしまった。
以上